※作中のキャラは全員マスクを着用しています


両津「それにしても暑いな」

中川「マスクは蒸れますからね」

両津「そう　マスクなんて夏にするもんじゃないからな！」

麗子「あら　最近は夏向けに冷たくなるマスクも出ているみたいよ」

中川「今度ウチでも新技術の布を使った夏用マスクを売り出しますよ」

両津「お　いいなそれ今度くれ」

中川「わかりました」

両津「工場ごと」

中川「ダメです」

中川「それにしても先輩　しっかりマスクしてるんですね」

麗子「そうよね　両ちゃんのことだからマスクなんてしないと思ったわ」

両津「たしかにわしは病気にはならん　だがそれを相手も知ってるとは限らんからな」

両津「わしがマスクをするだけで相手の不安を取り除けるなら安いもんだ」

中川「なるほど」

麗子「ちゃんと考えてるのね」

両津「それに悪いことばかりじゃない　マスクをすると作者が顔の下半分を書かなくて済むんだ」

麗子「えっ」

両津「表情は目や眉だけで表現せんとならんが　これで比較的楽ができる」ニヤリッ

中川「先輩…」

麗子「さっきのいい話はなんだったのよ」

両津「そうだ！もっと楽するため顔全体を覆うマスク流行らせよう！」月光仮面みたいに

プルルル…　プルル…ピッ

中川「はい中川です　えっ　はい　分かりました」

ガチャ

両津「なんだ？」

中川「すみません先輩　たった今編集側から指摘が入りました」

中川「『そういう楽をするのは禁止だ』とのことで次のページからマスクは透明になるようです」

両津「なんだと！せっかく漫画業界に革命を起こせると思ったのに！」

麗子「それにしても　今年に入ってから新型ウィルスの影響で会社や学校が休みになって大変よね」

両津「まったくだ　わしら警察は年中無休だというのに！」

中川「先輩…　僕らはかれこれ数年お休みいただいてますよ…」

両津「そういう発言はよせ　それにたまに書下ろしで仕事はしている」

麗子「それでもほとんど働いてないと思うんだけど…」

両津「そういえば今年に入ってから何かを忘れてる気がするんだが……」

麗子「もしかして中止や延期になったお祭りとかイベントじゃないの？」

中川「たしかに今年は色々と行事が進行不可能になりしましたからね」

麗子「それで後回しにしていて忘れたとか」

両津「まさかオリンピックまで延期になるとは思わんかったからな」

中川「そうですね」

両津「……ん？オリンピック？　そうだ！日暮だ！」

麗子「あっ！」

中川「完全に忘れてました」

両津「そもそもみんなあいつをオリンピックと紐づけて覚えているからな　オリンピックがなければ思い出せん」

中川「流石にそれは言い過ぎですよ…」

両津「さて　じゃあ起こしに行くか」

中川「今回はどこで寝ているんです？」

両津「うっ……どこだ？」

麗子「私が知るわけないじゃない」

中川「ちょっと待ってください…調べます　2016年の頃の巻だから……」

両津「わしも電子書籍版こち亀で調べるか」

麗子「Wikipediaに書いてあるわよ　2016年はこち亀ジャンプに書き下ろしで出てきてるみたい」

両津「で　何巻だ？」

中川「それが単子本に収録されてないようです」

両津「なにぃー！」

中川「あ！」

両津「なんだ」

中川「最終話の40周年パーティに寝ているところを無理やり出席させられてます」

両津「そういえば連れてきた記憶が…そのあとどうなったかわかるか？」

中川「そのまま連載終了したのでもしかしたらパーティー会場に放置されてる可能性が…」

両津「ちょっと行ってくる」

40周年パーティ跡地

本田「今日はお気に入りのVTuberの生配信があるんです〜　早く帰してくださいよ〜」

両津「仕方ないだろ　ここまで最短でこれるのがお前のバイクだったんだから」

本田「じゃあ早く終わらせて帰りましょうよ〜」

ガチャッ

両津「うおっ！　会場がそのまま…　まるで時が止まってるようだ……」

本田「ひぃぃっ！　不気味です〜早く帰りましょうよ〜！」

両津「待て…　いたぞ！日暮だ！」

本田「本当にいるなんて…」

両津「おい！起きろ！もう4年経ったぞ！！」

日暮「うーん……おはよう両さん」

両津「なんだ　今年はやけに目覚めがいいじゃないか」

日暮「うん　なんだかわからないけど静かにぐっすり眠れた気がする」

両津（たしかに連載が終わって事件らしい事件は何も起き取らんからな……）

日暮「ところで両さん　この4年で何か変わったことあったかい？」

両津「今週のジャンプだ……読んでみろ」

日暮「あっ……！」

両津「そういうことだ」

日暮「『斉木楠雄のΨ難』が連載終わってるじゃないか！あれ結構好きだったのに」

両津「作者の麻生はあと40年連載すると約束しといてすぐに破ったからな」

本田「あれはこちら側が一方的に言ってただけですよ〜！」

両津「それと連載終わってから麻生はアイドルと結婚しやがった」

日暮「嫌だな両さん　漫画家がアイドルと結婚なんてできるわけないじゃないか」

本田「本当なんです〜」

両津「あとこち亀の連載が終わった」

日暮「流石にそんなベタな嘘には引っかからないよ」

本田「それも本当なんです〜」

両津「もう一度ジャンプを読んでみろ」

日暮「うーん……これ落丁してない？　こち亀がどこにもないんだけど」

両津「だから言ってるだろ！　連載終了したんだ！」

日暮「そういえば今年のオリンピックは東京でやってるんだよね？」

両津「うっ…　あー　そうだったかな？」ドキッ

日暮「新国立競技場は結局どうなったの？」

両津「そんなことよりお仕事しよう　な！」

日暮「ムッ　なにか怪しい」

両津「何も怪しいところなどないよ　なぁ本田君」ぽんぽん

本田「えっ　はい」

日暮「ちょっと新国立競技場まで行って見てくる」

シュンッ

本田「キャッ！　消えた！」

両津「やばい！　あいつ確認しに行きやがった！　わしらも行くぞ！」

白バイ移動中

プルルルル

中川『先輩どこです？　いま国立競技場上空で日暮さんが暴れています』

両津「今移動中だ！　すぐに現場へ向かう！」

本田「飛ばすぜ！　両津のダンナァ！」

ブウゥゥゥン！

両津「見えてきたぞ！」

日暮「両津ー！　また俺を騙して起こしたなぁー！　まだ2020年になってないじゃないかー！」

ドガァンッ！

両津「うわっ！危ねぇな！」

中川「先輩！早くこっちの建物の陰に！」

中川「どうしてこんなことになってるんです？」

両津「それがあいつオリンピックを見に行くと言い出して…」

麗子「ああ　延期のことを知らなかったから…」

中川「また4年より早く起こされたと思って怒ってるんですね」

麗子「どうするのよ？」

両津「以前も同じようなことがあったろ　あいつは美女に弱い　麗子が怒りを鎮めるんだ」

麗子「嫌よ！　自分で行けばいいじゃない！」

両津「わしが行ってもさらにキレて消し炭どころか分子レベルで分解されるぞ！」

麗子「そんなところに私を行かせる気なの！？」

両津「ん？分子レベル？そうか！いいことを思いついた！」

麗子「良かったわ　じゃあ頑張ってね両ちゃん」ぽん

両津「お前が行くんだよ！」ズイッ

麗子「嫌よ！！」

両津「うーむ　どうしたもんか…」

本田「先輩　僕もう帰っていいですか〜？　ライブ配信に間に合わなくなります〜」

両津「わかったわかった……ん？　それだ！」

麗子「何がそれなのよ？」

両津「以前麗子の身体データを採寸して3Dモデルを作ったことがあったろ」

麗子「そういえばあったわね」

両津「それを使ってわしがVTuberとなり日暮を説得する」

麗子「また私の恰好を両ちゃんがするわけ？そんなの嫌よ！」

両津「じゃあお前がそのまま特攻するか？」

麗子「うっ……　今回だけよ」

中川「ですがさすがにCGだとバレるんじゃ…」

両津「大丈夫だ　あいつは4年に1日しか起きんからVtuberどころか現代のCG技術もほとんど知らん」

中川「たしかに…」

両津「中川　空中に映像を映し出す機材があっただろ急いで用意しろ」

中川「分かりました」

すんげえそれっぽいw

モクモクモク

日暮「ん？なんだ？霧か？」

バーチャル麗子（両津）「ハァ〜イ　日暮さん　お久しぶり〜?　麗子でーす?」

日暮「あっ　空中に美女が！」

V麗子（両津）「日暮さん　そんなに怒っちゃやーよ?」胸元強調セクシーポーズ

日暮「うっ」ドキッ

麗子「ちょっと！私の恰好なんだからもっとちゃんとしてよ！」

中川「まあまあ麗子さん落ち着いて…」

V麗（両）「それでなんで日暮さんはそんなに怒ってるの？」

日暮「そうだ！　両津のやつが今年は2020年だと騙しやがったんだ！」

V麗（両）「今年は2020年よ？騙してなんていないわ」

日暮「でもオリンピックをやってないじゃないか！」

V麗（両）「今年はオリンピックが中止になったのよ」

日暮「えっ…オリンピック中止？そんなのこち亀が終わるよりあり得ないだろ！」

V麗（両）「それが〜今年は超ヤバイウィルスが大流行しちゃって人類存亡の危機って状況なの」

日暮「なんだって！？」

V麗（両）「そこで日暮さん　力を貸してくれないかしら」胸元を強調しながら上目遣いで

日暮「お　俺にできることならなんでも」ごくりっ

麗子「もう帰る！」

中川「まあまあ…」

V麗（両）「新型ウィルスさえなければオリンピックをやれていたはずなの！」

日暮「新型ウィルス許すまじ！」

V麗（両）「だからその怒りをウィルスに向けて全滅させてくれないかしら？」

日暮「たしかにウィルスさえ無くなれば…　だが極小のウィルスなんて消せるかどうか」

V麗（両）「これでも駄目？」M字開脚

日暮「うぉぉおおおおッ！！」

中川「…地獄だ…」ごくりっ

両津の説得により日暮の怒りとエロのエネルギーをすべて新型ウィルスに向けることに成功した
新型ウィルスは東京を中心に次々と消滅していき
遂には世界中の新型ウィルスの99.999％が消滅したのだった

しかし、残った0.001％のウィルスが独自の進化、増殖しまた世界を襲ったのである


数週間後　派出所


両津「やはり個人の能力では無理があるな」

麗子「いくら日暮さんでも　あんな小さなウィルスを全て消すなんて不可能よ」

中川「ウィルスに勝つなんて人類には不可能ですからね　生物はウィルスとは共存するしかないんです」

麗子「そうね　人にできるのはウィルスを極力拡散させないように気を付けることよね」

両津「自分が感染しないようにするのも大事だが　相手に感染さないためにマスクや消毒をする」

両津「そういう他人への気遣いを積み重ねた先に安心して生きていける世界があるとわしは思う」

中川「来年こそはオリンピックをやりたいですね」

両津「ああ　できるさ　世界中の皆が頑張ればきっとな」


おわり

乙
良かった

面白かったぞ

今度どっかでまた読み切り載るらしいけど